映画『クリスチーネ F』の中の素晴らしいボウイ・ライヴ
アンディ・ウォーホル役のボウイ 『バスキア』にて
映画『クリスチーネ・F』とサウンドトラック
映画『ハンガー』のボウイと実現しなかったエゴン・シーレ役
『地球に落ちて来た男』を幾度観ても♪
『地球に落ちて来た男』を初めて観た頃
戦場のメリークリスマス
★1981年の西ドイツ映画『クリスチーネ・F』とサントラのことを、以前書きましたが、その時はyoutube禁止だったもので追記したいと思います。この映画の中でボウイは"デヴィッド・ボウイ"として登場し、この映画のためのライヴを撮影。このライヴがまた素晴らしい!!youtubeを決して推奨しているのではないけれど、ボウイのファン層は広い。1982年公開のこの映画を劇場で鑑賞できた私は幸運にさえ想える時がある。1973年のジギー・ライヴを観て、あのファンの皆様の中に一緒に居たかったと想う私の気持ち...少しずつの世代の違い、時代のタイミングでボウイに出会う時は様々。今なお、10代のお若い方にもボウイの魅力は伝わるのだ!という事実に感激しています。40年のデヴィッド・ボウイの軌跡を想うと奮える。ま た、畏怖の念をも感じ続けている。私はボウイに近づけない(近づけなくて良い!)。その距離は遠い。いつまでもその距離は大切にしていたい。けれど、いつの間にか私の心の美しき住人(それも王様のよう)として君臨しているよう。この映画の中の『Station To Station』の冒頭、クリスチーネのお部屋が映る。『CHANGES ONE BOWIE』が2枚重ねて置かれている。大好きだから同じレコードを持っている。この映画は決して愉快な映画ではない。この後のこの美しい少女の転落も知ってしまっているので哀しいけれど、ボウイのライヴ・シーンが素晴らし過ぎるので!
Station To Station -David Bowie from Christiane F
映画『バスキア』の公開からもう10年以上経っているのだと今日気がついたところ。あのワクワクしながら劇場で観ていた日はついこの前のようなのに。ボウイのアイドルでもあるアンディ・ウォーホルに扮するお話は公開前から話題になっていた。ウォーホルが実際に着用していたカツラやサングラスやジャケットをボウイが嬉しそうに着用して成り切っている。肌の感じは特殊メイクの効果もバッチリ。実在した人物を演じるのは『エレファント・マン』(ブロードウェイ)のジョン・メリック役以来のこと。購入したパンフレットを久しぶりに眺めていた。どこに書いてあったことか...という事が多々あるのだけれど一つ判明した。少� �ドキリ!とするお話だけれど。
『エレファント・マン』のオープニングの出席客にウォーホルも含まれている。後に判明したのは、ジョン・レノン殺害犯マーク・チャップマンも、レノン暗殺がうまくいかなかったときに時間つぶしに『エレファント・マン』を観劇していた事実である。楽屋口でチャップマンはボウイに接近しようとさえしている。チャップマンの気が変っていたら?ちょっとぞっとする話だ。
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"これを見てくれ"とサイフ入れ(これが古びてどうってことがないサイフであることに妙に感動した)から、端の方が折れまくった写真を出して見せてくれたのが、ウォーホル・メイクの自分の写真だった。ウォーホル役をとても楽しんだと語ってくれた。
なんだか、私の携帯の待ちうけ画面のボウイ様を眺めてはニヤリとする感覚と少し似ているようで嬉しいお話。こういうボウイがまた好きなのでもある(嫌いなところは探そうとはしないのだけれど)。アイドルであるウォーホルを楽しく演 じていたボウイは観ていても伝わってくる。
「彼は描いている時が、一番幸せだった」とシュナーベルがバスキアについて語っている。表現が尊敬され、愛されている時、そこに住む人々は幸福といえる。デヴィッド・ボウイの、身体的にも精神的にも窺えるアンディ・ウォーホルの演技にも暖かな心を感じた。そういう意味で、ほんの10年ほど前だが、バスキアの生きていた頃は、予期せぬ惨劇がいつでも幸せの隣にあったようだ。ウォーホルの死が、バスキアにとってそうだったように。- 村上龍
1. V-2 Schneider
2. Tvc 15
3. Heroes / Helden
4. Boys Keep Swinging
5. Sense Of Doubt
6. Station To Station
7. Look Back In Anger
8. Stay
9. Warszawa
(CD化された日本盤) 『クリスチーネ・F O.S.T.』
1. V-2 シュナイダー
2. TVC15
3. ヒーローズ(ドイツ語ヴァージョン)
4. ボーイズ・キープ・スウィンギング
5. 疑惑
6. ステーション・トゥ・ステーション
7. ルック・バック・イン・アンガー
8. ステイ
9. ワルシャワ
私はCDは買っていなくて、日本盤LPは下記のような表示となっている。
《SIDE 1》
1.V-2 シュナイダー
2.TVC-15 (ワン・ファイブ)
3.ヒーローズ(英雄夢語り)
4.ボーイズ・キープ・スインギング
5.疑惑
《SIDE 2》
1.ステイション・トゥ・ステイション
2.怒りをこめてふり返れ
3.ステイ
4.ワルシャワの幻想
※このサントラの中の『ステーション・トゥ・ステーション』はアルバム『ステージ』に収録のものながら、劇中のライヴ・シーンは映画のためにボウイが出演したもの。また、大名曲!『ヒーローズ』をこの中では英語歌詞~ドイツ語歌詞へと続けて歌われるものを収録。この曲の持つイメージに映画『クリスチーネ・F』はとても似合ってしまうので不思議。さらに、全フランス語ヴァージョンで歌われた『ヒーローズ』もある。私はドイツ語ヴァージョンの方がとても好き♪こんな感じで"ベルリン三部作"時代の楽曲からの構成。
カシオG-SHOCKの時計バンド
★この赤いジャケットが綺麗な色でお似合い。首が細くて長いボウイなので襟を立ててカッコイイ~♪少し似た色合いのジャケットを見つけたので購入して偶に着ていた頃がある。似合いもしなかったのだけれど、若気の至りで真似てみたりしていたのだ。母に"襟をちゃんとして行きなさい~。"などと言われてガクリとしたものだ。ああ、懐かしい想い出♪
※一番下のお写真は映画『クリスチーネ・F』の場面ではありません。オフショットでしょうか...どんなお話をしているのだろう。ポ~っと眺める少女たちの愛らしい表情を眺め、共鳴し喜んでしまいます☆
ボウイも大の映画好き!ご本人も俳優でもあるけれど、『エゴン・シーレ』のシーレ役は当初はマチュー・カリエールではなくボウイだった。スケジュールの都合で(ボウイが脚本を今ひとつ好んでいなかったというお話も)流れたけれど、かなりボウイも楽しみにされていたインタビューを読ん� ��ことがある。その時点では、これまた儚き夢の如く実現しなかったけれど、バリー役(ジェーン・バーキンが演じた)の最初の候補者はシャーロット・ランプリングさまだった!!とっても残念。初公開時とリバイバル上映で3度劇場で観ることができたのだけど、パンフレットには出演されていないボウイの事が沢山書かれていて一緒に行った友人とも大喜びだった。音楽担当はボウイの旧友ブライアン・イーノだし(この、ボウイ&イーノは最初から決まって進められていたよう)。マチュー・カリエールも好きなので良かったけれど、この映画を想うとやっぱりボウイが連想されてしまう...夢まぼろし☆
ボウイは絵を描くのでドイツ(ウィーン)表現主義にとても影響を受けてこられた。そんなボウイのお陰で私はエゴン・シー レという画家を知ることが出来、そこから広がっていき、今も継続してそれらの画集を眺めたり、展覧会に足を運ぶこともある。こうして、改めて考えてみると、ボウイは道先案内人のような存在でもあるのだと再認識。ボウイが好きなもの、全てを好きになりたい訳ではない。でも、ごく自然とボウイから受けたこの20数年の影響を悦ばしき出会いだと思えてならない。どうしても、どこを巡っても帰り着く処はボウイなのだろう。
G-SHOCKの交換バンド
さて、ニコラス・ローグ監督は凄い!偉い!このカルト映画を製作して下さったから。主役がボウイでなければ、また違った伝承のされ方をしていたかも?オープニングから引き込まれていく。地球� �落ちて来た男はトーマス・ジェローム・ニュートンと名乗り、自分の星の危機を救う為に幾つもの特許が含まれている映写機から大会社を設立していく。そんな彼を政府がチェックしだす辺りから後半は政府の人体実験に。(私の観たリバイバル時の同時上映が『時計仕掛けのオレンジ』だったのも納得!)この人体実験のシーン、グルグルと椅子が回転するシーンとか、コンタクトが付着してしまうシーンとか...可哀想(なボウイさま~!)って思ってしまう。ボウイに関してはどうしても役柄に感情移入はし難いみたい。
ニュートンの衣装は全てボウイ自らが選んだそうだ。道理でキマッテル!帽子好きのボウイなので幾パターンかの帽子、眼鏡もバッチリ!オープニングの山を下るシーン、初めてエレベーターに乗り恐怖のあ� �り鼻血を出し倒れて動けなくなるシーン、政府に軟禁されたニュートンを訪ねたメリー・ルー(キャンディ・クラーク)と卓球するシーン、モニターに囲まれて、次第にアル中に...数十年後も全く年を取らず美しく、ただただアルコールを飲む日々、もう自分の星には帰れないのだ。妻子を残して来たのでいつも気にしていたのに...。
この映画はSF映画と呼ぶにはかなり風変わり。ニコラス・ローグは「愛の物語」だと語っていた。異端に対する好奇の眼差し、サディスティックな人体実験。これは、今も人間が動物を使ってしている。そんな事もふと、思ったりする。
「ステーション・トゥ・ステーション」「ロウ」と続くアルバムのジャケットはこの映画から。オレンジの髪のボウイ、痩身過ぎる位に薄っぺらな身体、真っ白な肌・・・美しすぎる!作り物ではない。デヴィッド・ボウイという人間であるであろうロック界のスーパースター。
ロイ・オービソンやビング・クロスビーの曲も流れるけれど、ツトム・ヤマシタの曲はとても映像を効果的にしていると思う。ボウイは曲を作っていたのだけれど、監督は役者として熱望したようだ。
この『地球に落ちて来た男』のハリウッド・リメイクが決定したそうだ。まだニュートン役は未定だと。どなたが演じるのだろう?気になるけれど、あまり期待しない方が良いのかも。
そして、この『地球に落ちて来た男』の主人公トーマス・ジェローム・ニュートンに扮するボウイは、正しく適役!ボウイが演じたからこそ...って思ってしまう。ボウイはこの撮影後もなかなかこのニュートン役から抜け出せなかったとインタビューで読んだ事がある。ボウイは元々演劇畑のお方なのに 映画デビューはこの作品が初めて。1976年。ロック界のスーパースターとなってしまったのでスケジュールが多忙だったのだろうなぁ。
(つづく...)
女性は全く出てこない。坂本龍一氏との共演も嬉しい事だった。友人は演劇畑の女子なのでかなり細かく分析して感想を述べていたけれど、私はボウイの美しさ、凛々しさにドキドキしていただけに近い。龍一さんがボウイに抱擁されるシーン、そのお互いの表情がとても好き。女性の私には理解出来ないのかも?だからこそ憧れるのか、兎に角美しい何かを感じる。あのボウイの歩み寄る姿、凛々しい眼光と口元、うるうると倒れる龍一さん・・・嗚呼、好きだ。この映画は色んな男性の心の葛藤や悲哀、優しさが描かれている。今だと随分冷静に鑑賞できるのだけれど、当時はこの作品中、結構ボウイは殴られたり痛めつけられるので、その度に怒っていたものだ。
パンフレットには著名人の方々のコメントが掲載されている。随分久しぶりに読み返してみた。それぞれ共感できる讃美なのだけれど、以下の中島梓氏のものがやはりトキメク私。
「ここに登場する人々はみな、それぞれに何か想念に憑かれている。憑かれた男たちは狂おしくも美しい。それは『狂人と聖者と兇賊にしか興味がない。あとは俗衆が』というユイスマンスの言葉を思い出させる。そして、このまさしき『狂人と聖者と兇賊』だけの世界の中で、金髪のデビッド・ボウイは、ひとりのエロティックな『受難のキリスト』である。この映画は新しいゴルゴダの丘の物語である。」 - 狂おしく美しい男 -
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