2012年4月20日金曜日

TCT


機種:
'50s Classic Telecaster 改 (Larrycaster) 

「こだわりの楽器屋」のコラムで紹介したヘキ地にあるにもかかわらず
アメリカ中からオーダーが来るというMusicOne。 やっぱ本物は場所に
関係なく認められるってことか?
ここのLarryはギターのセットアップ・改造において多くのギターマニア達から
絶対の信頼を得ている。
(彼の手がけたテレキャスを「ラリーキャスター」と呼ぶオタクな人も多い。)

今までギターを試奏もしないで通販で等とは考えられなかった筆者だが、
彼の仕事には非常に興味があったので前から欲しかった '50s Tele を
カスタム・オーダーしてみました。
(これがクラッシックやアコースティック・ギターだったら絶対にやらないけどね)

「メキシコ製だからダメ」という頭の固い人のために:
当サイトで何回か書いているが、(今現在の)メキシコ製Fenderのギターは
全てのパーツがアメリカ製で、メキシコ工場にはパーツを造る工程は全くなく、
塗装と組み立てのみが行われている。アメスタでさえラミネート・ボディの
モデルが多いのにこのモデルはそれがない。しかもBasswoodやポプラ、
センではなくちゃんとAsh材を使っている。 イギリスのあるギター雑誌では
「Fender Japanよりはるかに上」と評価されたほどだ。

(でも、その後何冊かその雑誌を見たけど、割と適当な決めつけとか、思い込み、
間違いの多い雑誌みたいなんで、あんまり当てにならないってオチがある)

メキシコ製のクォリティが上がったためにアメスタの売れ行きが落ち込んだ
ために、アメリカン・シリーズが登場したという有力な説もある。

ってな訳でこのテレは筆者の中では非常にお買い得感が大きいのだ。

さて、ラリーとの数回のEmailと電話のやり取りから筆者の最終オーダー
の内容はだいたいこんな感じになった:


誰がbapesを発明した
(1) model : MIM '50s Classic Telecaster
(2) body : Ash (*1)
アコースティックに良く響くやつをよろしく!
(3) color : white blonde
(4) bridge plate 改造: Master Series Telecaster style vintage tele bridge
ベースには52RIのプレートを使って下さい。 あっ、でもオリジナルのプレート
は捨てないで送って下さいね。
(5) saddle 改造: 角度付きブラス + 角度付きsteel (steelはオリジナルのを使って)
で、ブラスの方をギターに付けてsteelの方は送って下さい。
私は通常.009 - .042.位の弦を使っていますが、録音する時等は.010を使う時も
あります。(*2)
(6) 52RI 用の black one-ply 5 screw pickguardを付けて下さい。
(7) あと、オリジナルの白いピックガードの裏とフロントPUの穴の所に
ラリーさんのサインが欲しいのですが。えっなんでかって?だって、
みんなに自慢できるじゃないですか!


PUについてはどうせ将来は交換だろうとは思ったが、これのPUを褒めている
意見や記事を見た事があるので、試してもみないのはかわいそうだと思い
オリジナルのままとした。
Fenderにも確認したけど日本向けモデルのPUはTexas Specialなのに
USAモデルにはVintage Teleという安物が載っているんです。 
あのねー、なんでそーいう事するかなー・・?

BODY:
3ピースも2ピースもあるとの事なので、じゃあ2ピースを欲しいと
頼んでおいたのだが、彼が送ってきたのは・・
なんと!1ピース!!
こ、こんなのアリか?・・ラッキーすぎる!
white blondeは少し木目が透けて見える塗装なので確認できるのだ。
最初は継ぎ目が見えないので
「オイッ、まさかMEXスタンダードシリーズ用のラミネート・トップ&バック
だったら返品だぞ!」
と思ったのだがよく調べると、もちろんトップに継ぎ目はなく
その木目がサイドにまで繋がっていて、さらにバックにまで
全く破綻せずに流れているのだ。虫メガネで見ても、光を電球、
蛍光燈、太陽光にしても不自然な継ぎ目なんて全く見えない。
そーいや電話でラリーと話した時も彼は「なんか継ぎ目見えにくいんだよねー」
とか言ってたな。
あぅうー、ありがたやー。ラリーさん、サンキューね!!


メンフィスのheeleysを購入する場所
問い合わせたら
「このギターは1ピースもあり」とFenderからも確認が取れました!


(ま、だからって生音が4ピースのよりもいいのかって聞かれると
別にそんな事ないと思うし、いい音出したいならこんな所にこだわってる
ヒマがあったら、よっぽど練習して腕と耳を鍛えたり、いいエフェクターや
アンプをそろえたりした方が効果は1000倍だと思いますけどね。
単に気分の問題です、これは。)

改造ブリッジプレート:
(1)ピッキングの邪魔にならないように
下側のエッジが削ってある。で、削った所
がサビないようにクリアーラッカーで
コーティングしてあるそうだ。確かにこれだと
大抵の人ならピッキングの邪魔には
ならないし、見た目も昔っぽくて良い。

(こーいうのって今時珍しくないけど、ルーツは多分
このラリーキャスターだと思われる)

(2)ネック側に2個スクリューを追加してより
ボディに密着するようになっていて
サスティーンが向上する。この改造は
ボディに穴をあけるので音質の影響も
考えてか小さ目のスクリューを使用している。

ちなみにこの余分な穴をブリッジプレートに開けないでという
オーダーも可能。

改造サドル:
正しくチューニングが合うように角度がつけられている。
さらに通常より大き目のスクリューとスプリングを使用
する事によって安定性の向上をはかっている。

もちろんチューニング問題は解決しているし、角度付き
サドルでも弦と弦の間隔がずれてしまうって事もない。筆者が
「ブラスもスティールもどっちも試す」
と言ったらラリーは
「高域をスムーズにして少し甘い音になるブラスから試したら?」
と言うので今はブラスが付いている。

ちなみに弦のゲージによって角度が違うと言うので、いったい
どんな工具でそんなに微妙な設定が出来るのか?と聞いたら
訳のわからない専門用語がたくさん返って来たのでここではパス

あと、彼がやったFenderの正規ゴールドレベル・テクニシャンとしての調整は:

弦高の調整
ナットの溝切り&ポリッシュ
サドルのネジの出っぱっている所を短く切って手を置いた時痛くないようにした

ってとこでした。

ギターを送る時にはソフトケースに入れて、それをFenderの箱に入れ、
さらにそれをSquierの箱に入れて送ってくれました。
(届いた時、Squierの文字を見た時は少しビビッた)


マウイ島で何着る

ペグ:
52RIのGotoh製とは違ってただのクルーソンタイプの安物ペグ。
別にチューニングが合わないとか弾いているうちに緩んでくるなんて
事はないので今はこれで満足。唯一「やっぱ安物」って感じるのは
3弦のシャフトが少し斜めになって付いている所。ま、いっか。
(チープなペグの方が50年代当時のクォリティに近いって見方も
あったりして)

造り:
評判どうりに最近のメキシコ製は造りも塗装も非常にきれい。
ただ、一個所だけ文句を言わせてもらえばネックポケットと
ネックの間のこの微妙な隙間はなんなんだ!です。
おそらくアメスタ等の標準サイズのボディと同じ型に少し細い
Vintageのネックを付けているからだろう。これは、パーツを
送ってくるのはFenderUSAなのでメキシコ人に罪はない。
(ラリーは「ネックポケットもすごくタイト」って言ってたけど、
あーた、この程度でタイトっつったら評判落ちまっせ)



この前楽器屋に行ってチェックしたら52RIもカスタムショップ製の
ギター(誰の作品か忘れた)も「妙な隙間」があった。
このことから次の様な事がわかりますね:

<FenderUSAはそんなの全然気にしていない>


ネック:
BBSに質問があったアメスタとの比較
(1)
ナットの幅はアメスタより'50sの方が少し狭い。
 
でも21フレットの所ではほとんど変わらない。
 

(2)
アメスタは'50sより薄いシェイプ。 
で、'50sはアメスタより厚くてそれを丸っこいUシェイプに
しているので
さらに「ずんぐり」した感じがある。


音:
(注:好みの問題なのでくれぐれも筆者個人の意見として読んで下さいよ)
このPUってちょっとイマイチ?
ギターそのものの素材がいいだけに実におしい。
(さっきも書いたようにUSAモデルはTexas Specialじゃない)
なにが気に入らないかと言うと:

(1)オレはテレキャスだ!という主張があまりない。
単に「エレキ・ギター」として見れば充分使える音だと思うけど、では何故自分は
今テレキャスの形をしたギターを持っているのだろうか?と考え込んでしまう。

(2)PUセレクターをどこに変えても似たような音しかしない。(当社比)
なんのために自分はセレクターをカチカチやってんのか?と悩んでしまう。


と言う訳で、このPUは絶対に交換する予定。
しかしこれと比較するとアメスタってやっぱ偉大だわ。
(筆者はアメスタのテレも持ってます)
セッティング次第でいろんな「使える音」が出せるし、しかも
テレキャスにしか出せない音というのもちゃんと持っている。

さて、いかがでしたでしょうか?
火曜サスペンス劇場第一回目の今日のレポートは:

「さすがMusicOne、ちゃんと「改造」は「改良」になってる。やっぱ評判はダテ
じゃないね、このっこのっニクイよ!メキシコだってやってくれるじゃんさー。
思い込みとか固定観念、偏見を持ってるうちは正しい評価はできないね。
それはそーと、せっかくの1ピースBodyさえもだいなしにしてくれたPU。
Texas Special 搭載日本向けモデルがうらやましいぞ、ちっきしょーめぃっ!」

・・・をお送りしました。
(意味わかんねーって!)


(*1) 
ある雑誌ではこのモデルは4ピースと書いてあったが、
読者の皆様の報告やラリーによれば3ピースも2ピースもあり。
今回ので1ピースの存在も確認されました。

(*2) 
ゲージによって角度が違うから教えてくれと言われた。
(テレキャスの三駒サドルは角度が付いてないとチューニングがちゃんと
合わない。えっ? わかりきった事書くな!って? いやいや、このサイトって
マニアやオタク以外にも初心者の方も見てくれているんで)

Katsumi


第二部:
重箱チェックぅ!!
(だから意味わかんねーっつーの!)

まあ、これは「XX年のリイシュー」ではなく「50年代の再現」と適当に言って
いるので、じゃあどこがどう何年のスペックなのかをつつき回してみました。
オタク指数高めのチェックなので勇気ある人だけ読み進んで下さい。

>>>危険! ここより先一般人立ち入り禁止<<<

(1) 
Fenderのロゴのこの位置は56年までのもの
スパゲッティの形はアメスタの物よりは本物に近い 
(でも違うんだ、これが。ちなみに52RIだって違う。
ま、ここ読んでるあなたなら一目見てわかりますね。)

(2)
トラスロッドのプラグがもう少し楕円として見えないと違う。
理由は説明するまでもないだろう
(でもいい線いってる方だ)

(3)
12フレットのドットの幅は50年ー52年もの

(4)
PU・スイッチ・Toneの配線は67年以降の現代風

(5)
ドーム・ノブはかなり丸いので53 - 56年もの

(6)
Top Hatではないので 50 - 56年



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